『ムラさんと言ってもらったら分かるので院長に代わって欲しい。』
という不審な電話があった。通常このような不審者からの電話は取り次がないようにスタッフには伝えてあるが、善良そうな声をしている、若干『雑な感じ』です、でも悪い人ではさなさそうです、とのことで電話を替わった。要件は営業でも勧誘でも未払い金の徴収でもなく皮膚病の相談だった。相談にはもちろん誠意を持って対応したが、途中、カトウとかイナオカとか医学生時代の聞き覚えのある名前の近況を伝えてくれたが、まあありふれた名前だし、ほぼムラさんだとは思ったが、本当に私の知っている古い友人かどうかは100%の確信が持てなかった。・・・とは言ったものの20年ぶりに同期を探し出して不審者と疑われることを承知の上で電話してくれたと思うとやっぱり嬉しい。次に話をするのはまた20年後かもしれないが今度は僕が探して電話をしよう。
まあムラさんはいいとして何が気になったかというと、本人確認は難しい、ということだ。
病院での患者さんの人違いは少なくない。最近は診察室に入ったときに患者さんにお名前を名乗っていただく病院が多いと思う。勤務医の頃は病院の取り決めもあってそのようなものだとなじんでいたが、やはりわずらわしいので開業してからはどうしても確認が不十分になりがちだ。大きな病院のやり方をそのままクリニックに導入するのもいかがなものかとも思うが、人違いは必ず起こるミスと考えて注意している。
クリニックの近くをたまにサビネコが歩いているが、最初は家のネコとそっくりで家出したかとびっくりした。もちろんネコは名乗ってくれない。